ガージェス・ノルディア(四)
朧月夜

「それは出来ません。彼女は大事な人質、いいえ、交渉のいとぐちです。
 あなたから、最善の道を引き出すためのね」ガージェスの口は滑らかだった。
「わたしはあなたに一つの提案があります。これは、
 わたしの雇い主の意向とは異なるものですが……」

「お前の雇い主は、祭祀クーラスだな?」アイソニアの騎士が尋ねる。
「そうでございます。いいえ、そうでございました。
 しかし、今のわたしには、新しい考えがあるのです。騎士殿」
アイソニアの騎士は、歯噛みした。これは、余計面倒なことになるのではないか……

「アイソニアの騎士殿。わたしは、あなたにこの世界の王となってほしい。
 もし、それが叶わないとなれば、元の依頼人である、祭祀クーラスに従うのみです」
「この世界の王だと? 大それたことを言う奴だな、お前は」アイソニアの騎士が笑う。

「そうとも言いきれませんでしょう。あなたの武勇、そしてカリスマを持ってすれば、
 世界を統べることなど、容易いのではありませんか? あなたの前に立ちはだかっているのは、
 祭祀クーラス、ただ一人なのです」ガージェスは、自分の考えを滔々と述べた。  


自由詩 ガージェス・ノルディア(四) Copyright 朧月夜 2022-12-10 12:25:41
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クールラントの詩