盗賊ヨランとアイソニアの騎士(六)
朧月夜

数日の後、イリアスの消息につながる一つの情報が得られた。
彼女は、市場への買い物の折に、数人の男たちに囲まれ、
麻袋に入れられて連れ去れたというのである。この情報の収集には、
アイソニアの騎士が持っていた、彼女の肖像が役に立った。

「問題は、その男たちが何者かということだ」
「おそらく、祭祀クーラスの手のものでしょう」
「それは分かっている。俺は、具体的な下手人が知りたいのだ」
「それでは、わたしがクールラントに潜入してみましょうか?」

「いや。俺たちが今離れ離れになるのは、良くない。
 俺が祭祀クーラスの前に引き出されるまで、イリアスは殺されないだろう。
 今は、そんなはかない希望にすがるしかない」

「虎穴に入らずんば、虎児を得ず、ですね」
「しかし、クールラントへは馬車でも数日かかる。近いうちに、向こうから
 俺に接触してくるだろう」アイソニアの騎士は、ふいに暗い表情になった。


自由詩 盗賊ヨランとアイソニアの騎士(六) Copyright 朧月夜 2022-12-03 09:53:31
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クールラントの詩