ナターシャ再校
モマリサ公
記憶は夕暮れていく
真っ青に染まり
帰る場所って
これは祈り
12階のベランダから地上を見てる
ナターシャ
得体の知れないものが
あたし達の体の中にある
悪意
諦め
水
脂肪
執着
退屈で退屈な同じ日々が続く
俺たちははじめから狂ってるってわけじゃなくて
あたしたちは徐々に用意が整う
ぼくたちは段々に壊れていく
予測のつかない何かは予測がつかない
だから君たちは街をパトロールしてマップする
テロリスト
リストカット
過食嘔吐
オーバードーズ
みんなの輪郭が流れて暗い河になる
川の面をあかりがぶれている
ネオンとマンションがゆれる
マフィアのパパ
のかばんに子猫が入って
移民のママ
が空気をかきまわす
ハンディキャップのあにき
が食べ物をこぼしながら笑い
性転換者のぼくとシャブ中のおとうと
で街をマップする
ソープ嬢のアネキは
毛穴を全開にして高速道路をくぐり
徐行するタクシーを止め
街路樹を覆う空は生乾きで
肉色の暗い雲は膿みたいな雨を含み
いまにもおちていきそう
各駅停車を待つ身じろぎもしない人の群れ
俺たちははじめから狂ってるってわけじゃなくて
あたしたちは徐々に用意が整う
ぼくたちは段々に壊れていく
予測のつかない何かは予測がつかない
得体の知れないものが
あたし達の体の中にある
白いシャツが垂直にたれ
心臓のつぶれる音を聞く