戦士エイソスとエインスベル(七)
朧月夜

「これは、わたしのもたらす罪だ。祭祀クーラスは、
 あなたとアイソニアの騎士の妻を盗むことで、
 あなたたちにわたしを殺させようとしたのだろう……。
 最愛の人のためであれば、あなたたちも手を汚すだろうと」
 
「卑劣な! 我が妻クシュリーは誰にも渡さん。しかし、
 あなたはリーリンディア監獄に収監中ではなかったのか?」
「盗賊ヨランが、わたしを助け出してくれた。ここにいる、リグナロスも」
「そのリグナロスというのは、真にあなたの味方なのか?」

「わたしを逃がすことで、彼もまた追われる身になったのだ。信用して良い」
「それならば……、我が妻を誘拐するという情報はどこから?」
「この国にも、エインスベル様を助けたいという方はいるのです」

一瞬、戦士エイソスとリグナロスとは睨み合った。
互いに、互いの力量を計ろうとしている表情である。息のつまる瞬間。
そんな二人を見て、エインスベルは手のひらを打ち合わせる。


自由詩 戦士エイソスとエインスベル(七) Copyright 朧月夜 2022-11-27 10:39:10
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クールラントの詩