戦士エイソスとエインスベル(一)
おぼろん

エインスベルは、リグナロスとともにエイソス邸の前に立っていた。
それは、クールラントの千人隊長にふさわしい、瀟洒な屋敷だった。
戦士エイソスは、クシュリーと結ばれて以来、一家を構えていたのである。
門前には衛兵……あるいは従僕の姿もあった。

「彼らは戦士でしょうか?」と、リグナロスが訪ねる。
「いや、そうではあるまい。さしたる訓練は受けていないようだ」
「では、屋敷の裏面から忍び込みましょうか?」
「待て。ここは、堂々と正面からでも良いだろう」

そう言って、エインスベルは門番の元へと歩いていく。
「エインスベル様……。お気をつけくださいませ。
 クシュリー・クリスティナはすでに攫われているかもしれないのですよ」

「それでも、わたしはエイソスを信じる。無碍に追い払うことはするまい……」
リグナロスは首を傾げた。このような軽率な行動を取るような、
エインスベルではなかったはずだが。牢獄での生活が彼女を変えたのか?


自由詩 戦士エイソスとエインスベル(一) Copyright おぼろん 2022-11-25 06:09:55
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