「詩的にゆくなら」
ジム・プリマス
終日、降り続けた雨が止んだので
近所のコンビニに車ででかけた
目当ては厚切りロースのカツサンドだ
夜になると半額になる
一個、二百円余りで買えるので
貧乏な身の上には助かる
今夜は面倒なので、ご飯を炊くのは止めた
夜半に腹が減っても昼の間に
鳥の出羽元を二時間煮たものが残っているので
それを食べればいいし、それで足らなければ
チョコポッキーも沢山、残っている
ドラモリでジム・ビームを一瓶、買っておいたので
今夜は、それを飲むのもいいな
酒の肴はそろっている
野菜が不足ならキムチを出してきてもいいな
カツサンドを食べているあいだ
詩作と音楽を止めて
YouTubeで動画を見る
積極財政派の主要な人たちの動画を
選んで見ていると
自分が日本の危機について
いかに思考停止していたのかを
思い知らされる
音楽を再開して
ワードの白い画面を前にして
自分には何が出来るんだろうと考える
家族や仲間、近所の人々といった
身近な共同体の復活のために
少しでも迷惑をかけないように
出来ることをしようと思う
許してもらって生きている
それを忘れないようにしようと思う
詩的にゆくなら
オールドファッショングラスに
氷山みたいな氷を放り込んで
オンザロックで
ジム・ビームを飲むとなるのだろうが
実際は薄いプラスチック製のコップに
ドラモリで買ってきた
2キロ247円の氷を入れて
インスタントのアイスコーヒーを
後追いにしてジム・ビームを飲んでいる
ハーマンの電気クラゲから流れてくる
ジャズを聴きながら
もうすぐイザベラの誕生日だ
メールをするのを
忘れないようにしないと
ソフィアはそろそろ夕方だなと
遠い異国のブルガリアに想いを馳せる