Little・C
ちぇりこ。

The Long And Winding Road
古い旋律が、折り重なる
小さな丘の上
ここは、見晴らしが良いから、と
きみはベンチに腰掛けて
編み物を始めようとする
小さな春が、置き忘れたような
小さな陽だまりの中で
揺れている
ぼくの胸は、いつも
開け放しにしてあって
奥には翡翠の空が広がっている

夏に生まれたきみは寒がりで
暖かい会話を並べてゆく
ものまね鳥が見ているよ
あの子
ゼンマイ仕掛けの小鳥だから
時折、不安定なアリアを唄うけれど
それはいつかユニゾンになり
きみの手のひらから
羽ばたく詩篇となるだろう

春に生まれたぼくは
いつも、夏の背中を見ていたよ
雨垂れの和音
川面に遊ぶ、光の子
届きそうで届かない
ラムネ瓶の底から見上げる
夏の背、を

ここは見晴らしが良いね
小さな丘の、小さな営み
いちばん小さな星を見つけるための
ふさわしい会話と
小さな花を、二つ飾ろう
花の名まえは知らなくていい


自由詩 Little・C Copyright ちぇりこ。 2022-11-22 23:31:11
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