詩の日めくり 二〇二二年六月一日─三十一日
田中宏輔

二〇二二年六月一日 「荒木時彦くん」


 講談社文庫の海外SF傑作選の1冊、『未来ショック』4作目は、アイザック・アシモフの「夢を売ります」どこかで読んだことがあると思って調べたら、ジュディス・メリル編の海外SF短篇傑作選『SFベスト・オブ・ザ・ベスト』の下巻で、「録夢業」のタイトルで読んでいたものだった。他人の夢を記録したものを商品として売っている者が主人公だ。作中にこんな言葉がある。「その子供にとって、雲はただの雲であるばかりでなく、それは枕でもあるのです。その二つの感覚を合わせたものは、そのどちらよりも──ただの雲、あるいはただの枕よりも──すぐれたものです。」(アイザック・アシモフ『夢を売ります』田中融二訳、128ページ)主人公のところに10歳の子どもがスカウトされてきた。個性的な夢を見る者としてだ。つぎには政府の役人が来て、エロチックな録夢を主人公に見せて、こんなものが出回ってはいけない、検閲するかもしれないと言う。さいごに夢を見る者が社にやってきて、録夢をやめたいと言う。主人公はいいと言った。彼は社に戻って録夢をするしかないと主人公は考えていた。主人公のさいごの言葉だ。「わたしには、夢想家という夢想家は全部気の毒に思える。こうして長年この仕事に没頭してきた間に、わたしは一つのことをさとった。というのは、かれら夢想家たちの仕事は、人間を幸福にするということにあるということだ。──自分をではなく、他の人々をね」(アイザック・アシモフ『夢を売ります』田中融二訳、145ページ、146ページ)

プールでバッグを盗まれる夢を見た。

 こころのなかで事物は変化していく。風によってつぎつぎと変化していく雲のように。風のない日だって、雲は姿を変えていく。自我もまた同じだ。事物の印象は次々と変化していく。変化を免れるものなど一つもない。ぼくは詩論でこのように、雲に例えて自我論を展開していた。

 ひょんなときに出る思いつきや、それをうながすものなどは、森の中でひょんなときに出くわす兎に例えていた。ヴァレリーに習ったのであった。

@kohimon いろいろなところに収載されているのですね。傑作だからでしょうね。

@kohimon 引用したような印象的な言葉があって、それで憶えていました。ぼくも忘れている作品が多いです。

@kohimon ぼくはさいごの落ちだけを忘れていました。

 荒木時彦くんから、詩集『under construction』を送っていただいた。短文の集積だ。例えば、こんなのがある。「昨日、起きた出来事は、今日は起こらない。また、今日、起きた出来事は、昨日は起こっていない。」ぜんぶ読むのに5分もあれば読める量の短文の集積だった。納得できる言質ばかりだった。
https://pic.twitter.com/mH0xdbjpoK


二〇二二年六月二日 「夢」


 けさもお金の夢を見た。父親がお金を貸してほしいというのを断ったのだ。弟は出したのに。ぼくはケチなんだろうか。父親はとっくに亡くなっているし、そんな事実もなかったのだが。ぼくたちは山のなかに住んでいて、その山の地面には、身体を半分以上埋めた人たちでいっぱいだったのだ。ぼくは入試で急いでいたときに、死んだ父親にお金を貸してほしいと言われたのだった。弟はすました顔でお金を貸していた。ぼくは地面に埋まった人の顔を踏んづけて、山のうえの学校に入試に行こうとしていた。


二〇二二年六月三日 「一九九九年」


 5作目は、フレドリック・ブラウンの「一九九九年」シカゴの話だ。犯罪者たちがうそ発見器にかかっても、うそをうそと証明できなくなっていた。理由を探し求めたところ、心理学者が関係していた。催眠状態で、犯罪者にその罪を犯していないということにして、犯罪者を善人にならせていたのだった。


二〇二二年六月四日 「徘徊許可証」


 6作目は、ロバート・シェクリイの「徘徊許可証」これは新編の海外SFアンソロジー『冷たい方程式』でも読んでいた。無垢な住民しかいない植民惑星に地球帝国から200年ぶりに連絡が入る。調査官を送るというのだ。地球の歴史を調べると犯罪者がいるということで、住民のひとりを犯罪者とした。しかし、無垢な住民は犯罪者にふさわしくなく、犯罪も犯せなかった。兵士を徴募していた地球帝国の調査官は、ひとを殺せないような人間を徴募するなどありえないと思い、無垢な住民たちに逆に怖れを抱き、植民惑星から立ち去った。

 ヤフオクで落札した海外SF傑作選『さようなら、ロビンソン・クルーソー』と『気球に乗った異端者』が届いた。前者のカヴァーがずれていたところが悔やまれる。本体はきれい。 https://pic.twitter.com/T53iV9ubL0

 枕元に置いておいた茶碗をひっくり返していて、あさ見たら、枕元にお茶がしみ込んでいた。ひさびさにやりおりましたな。


二〇二二年六月五日 「ショク……」


 7作目は、リチャード・マティスンの「ショク……」タイムマシンで未来に行った教授は、食料のない世界についた。持っていた食料を取り上げられたが、機転を利かして自分のいた世界に戻った。未来社会では、食料という言葉さえもタブーになっていた。人々がどうして生きているかの説明はなかった。


二〇二二年六月六日 「災厄のとき」


@air61x こちらこそ、お買い求めてくださり、ほんとうにありがとうございます。ryinxさんのおこころに触れることができましたなら、うれしいです。

@pied2020 おこころに触れることができたみたいで、うれしいです。お買い求めくださり、ありがとうございました。

@lzSbTWvooJWritQ がんば。

 さいごの8作目は、アイザック・アシモフの「災厄のとき」全世界を統御している電子頭脳の出した解答が、一部、人間にとって不都合なものがあった。主人公はその原因を探る。電子頭脳は特定の人間のためにではなく人類全体のために解答していたことがわかる。

 きょうから寝るまえの読書は、海外SF傑作選『千億の世界』である。収録作品6篇のうち、3篇が既読のもの。イワン・エフレーモフの『宇宙翔けるもの』、マレイ・レンスターの『最初の接触』、A・E・ヴァン・ヴォクトの『黒い破壊者』だ。どれも、『世界のSF』第31巻・短篇集・古典篇で読んだ。

 1作目は、イワン・エフレーモフの『宇宙翔けるもの』これはよく憶えていた。地球人が異星人と宇宙で接触するのだが、異星人は弗素をもとにした生物だったのである。炭素をもとにした地球人とはまったく異なる、文化、芸術などに驚かされる。友好な関係を保ちつつ情報交換をして別れる。『世界SF全集』第33巻・ソ連東欧篇・短篇集に入っていたもので読んだことがある。

 2作目は、マレイ・レンスターの『最初の接触』これは2冊の海外SF傑作選で読んだ。このタイトルの『最初の接触』と『世界のSF』第31巻・短篇集・古典篇でだ。ファースト・コンタクトするのだが、双方が疑心暗鬼になる。解決策は、双方の宇宙船を交換して、それぞれの故郷に帰るというもの。

 きょう、眼科検診を受けたら、右目が緑内障の疑いがあるとのこと。来週の月曜日に再検診を受けることに。齢をとると、病気の塊になってしまうんやね。


二〇二二年六月七日 「宇宙の漂泊者」


 3作目は、アレクサンドル・コルパコフの「宇宙の漂泊者」80世紀の人類は、新量子航星機でエリダヌス座のアルファ星に船員を送った。主人公はアルファ星に到着後、その星の巨獣に仲間をやられた。仲間を全員、宇宙船に戻して仮死状態にし、自分も仮死状態に入る。宇宙船は594年後に地球に戻った。

 4作目は、H・ビーム・パイパーの「創世記」古代に地球にやってきた火星人たちが、当時の地球の猿人たちを駆逐して地球にはにこったというもの。

 5作目は、A・E・ヴァン・ヴォクトの「黒い破壊者」猫の巨大化した化け物の物語。これは、『宇宙船ビーグル号の冒険』、宇宙生物SFアンソロジー『黒い破壊者』、『世界SF全集』第32巻・世界のSF・短篇集・現代篇でも読んだ。

 ヴァン・ヴォクトの『スラン』が Amazon でいくらするか見たら、4970円もした。ぼくはむかしブックオフで105円で買った記憶がある。古書の価格はわからない。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%AB-SF-234-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%82%AF%E3%83%88/dp/4150102341

@kohimon Amazon の価格はおかしいですよね。

@lzSbTWvooJWritQ ネットで買うのはひかえようとは思っていますが、現実の古書店に行く時間がありません。

@lzSbTWvooJWritQ むかしは古書店めぐりなどしていましたが、いまではもうネット古書店のほうが手っ取り早いので、ネットに頼りっきりになっています。


二〇二二年六月八日 「逃亡者」


 さいごの6作目は、クリフォード・D・シマックの「逃亡者」木星人に転移した5人が5人とも戻らなかった。そこで所長は自ら体質転移して木星人の身体になった。長年の友である犬も転移した。そこでわかったのは脳が拡張されて大いなる美を感じたということ。5人が戻らなかったのも頷けるというもの。

 きょうから寝るまえの読書は、海外SF傑作選の『人間を超えるもの』11篇中、既読と思われるものは2作だけだ。フィリップ・K・ディックの「にせ者」とゼナ・ヘンダースンの「アララテの山」だ。 https://pic.twitter.com/sKLBh0WULU


二〇二二年六月九日 「西田 純さん」


 西田 純さんから、個人詩誌『朱雀』第30号を送っていただいた。平易な言葉でつづられた詩は、どれもまっとうな現代詩と思った。逆説や皮肉は見られない。まっすぐな詩だ。 https://pic.twitter.com/mvTEIHrGUv


二〇二二年六月十日 「田中淳一さん」


 田中淳一さんから、詩集『生と死のあわいに迷子』を送っていただいた。身近な話題から現代物理学の範囲まで広範囲にいたる題材を扱っておられる。そのどれもがよくわかる言葉で書かれてある。読むのに難渋しなかった。
https://pic.twitter.com/sgJwqVrCtT


二〇二二年六月十一日 「長かりし年月」


 海外SF傑作選の『人間を超えるもの』1作目は、レイ・ブラッドベリの「長かりし年月」火星での話。『火星年代記』の一エピソード。20年前に死んだ妻や娘や息子を再生させた博士がいた。船長たちが訪ねると、一日目に心臓発作で亡くなった。博士のつくったものたちを殺せずに船長たちは飛び去った。

 予備校に6年間勤めていたことがあって、その授業をしている夢を見た。もう教える仕事はしたくないと思っているのだが、30年間教えていたので、なんらかの思い入れはあるのだろう。個性豊かな生徒たちだった。

 2作目は、ウィリアム・テンの「生きている家」『20世紀SF1 1940年代 星ねずみ』にも収録されていて読んだ。家が主人の核物理学者の思いのままに食事を用意したり衣服を用意したり、音楽を奏でたりする。それには際限がなかった。そこで疑問を持った学者の彼女の脳みそまでいじくって調整したりする。

 3作目は、チャン・デーヴィスの「エレンへの手紙」26歳の生化学者が研究していたのは、人造人間をつくることだった。主人公の青年は自分もまた人造人間だったことを知らされる。恋人のエレンにそのことを書き綴った手紙を送る。

 4作目は、レスター・デル・リイの「愛しのヘレン」『世界SF全集32 -世界のSF 現代編』にも収録されていて読んだ。アンドロイドが人間らしくなっていて、主人公の友人と暮らす。何年もたって、友人は心臓の病で亡くなる。アンドロイドはいっしょに火葬してくれと頼む。願いを主人公はきいてやる。

 5作目は、アイザック・アシモフの「うそつき」ひとのこころを読むロボットが1体できた。秘密裏に解析しようとしていた研究所の一部の研究者たち。そのロボットはひとを傷つけることができないために尋ねられた答えも尋ねたひとのこころにそうものだった。それで、うそをつくことになったのだった。

 6作目は、フィリップ・k・ディックの「にせ者」これもまた『世界SF全集』の第32巻・短編集・現代篇にも収録されていて読んだ。『クローン』のタイトルで映画にもなったのを観た。地球に潜入した偽者。地球の研究者になりすまして。ただ偽者本人も自分が偽者だと知らないという設定だった。

あした病院、2軒掛け持ち。眼科と精神科。


二〇二二年六月十二日 「旅路の果て」


 7作目は、ポール・アンダースンの「旅路の果て」テレパスの若者がテレパスの娘に出会うまでの物語。カタカナで書かれたけっして短くはない文章を読むのはきつかった。書き方に工夫が必要だろう。作品としても平凡。


二〇二二年六月十三日 「アララテの山」


 8作目は、ゼナ・ヘンダースンの「アララテの山」超能力を持った一族がいて、それを秘密にして暮らしていた。田舎にいたのだが、新任の先生が学校にやってきた。超能力を隠していた子どもたちのまえで、山火事を鎮めるために先生は超能力を使う。彼女もまた超能力を持つ一族のひとりだったのだ。この短篇は、ゼナ・ヘンダースンの短篇集『果てしなき旅路』に収められていて読んだことがあるはずなのだけれど、読んだのがずいぶんむかしなので、内容は忘れていた。ゼナ・ヘンダースンの作品で外れはなかったので、そのうちいつか2つの短篇集『果てしなき旅路』と『血は異ならず』を読み直そう。

『果てしなき旅路』は Amazon で、251円で売っていた。

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3/dp/4150103003/ref=sr_1_3?qid=1655224237&refinements=p_27%3A%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3&s=books&sr=1-3

『血は異ならず』は Amazon で、469円で売っていた。

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3/dp/4150105006/ref=sr_1_2?qid=1655224237&refinements=p_27%3A%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3&s=books&sr=1-2

 きのう眼科検診でわかったこと。右目に緑内障の症状が出ていて、上の左側が見えなくなっているということだった。クスリの処方は出されなかった。経緯を見計らうとのことだった。


二〇二二年六月十四日 「ページをめくれば」


 奇想コレクションの1冊、ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』は Amazon で、6970円もしてた。古書の価格はわからないものだ。

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3/dp/4309621880/ref=sr_1_4?qid=1655224237&refinements=p_27%3A%E3%82%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3&s=books&sr=1-4


二〇二二年六月十五日 「黒い天使」


 9作目は、ルイス・パジェットの「黒い天使」妻が突然変異して超人になった。妻は姿を隠した。夫は妻を探し続けた。老人になってようやく巡り合えた。しかし妻と寄りは戻せなかった。妻の話を他人にした。その他人も超人だった。夫を殺した。男の超人は女の超人を探し求めていたのであった。


二〇二二年六月十六日 「女性コース」


女性コースが選ばれたとき、レバーや砂肝が大丈夫か、尋ねること。


二〇二二年六月十七日  「アトムの子ら」


 10作目は、ウィリアム・H・シラスの「アトムの子ら」天才児童がいた。その児童は、ほかの児童にまじわって自分の天才を隠していた。心理学者の先生がその天才児童のことを知った。その子は、原子力研究所の爆発以後に生まれたのだった。その子と同じ能力のある子を探すところで物語は終わる。


二〇二二年六月十八日 「バーンハウス効果」


 さいごの11作目は、カート・ボネガット・ジュニアの「バーンハウス効果」バーンハウス教授は強力なテレキネシスの持ち主だった。教授は世界平和を願っていた。将軍は教授の意向に沿わない考え方の持ち主だった。教授は姿を消した。教授の弟子である主人公は教授からテレキネシスの秘密を知らされる。

 きょうから寝るまえの読書は、海外SF傑作選の1冊、『不思議な国のラプソディ』だ。収録されている12作品のうち、知っているのは、エドモンド・ハミルトンの「反対進化」とロッド・サーリングの「真夜中の太陽」の2作だ。未読のものと合わせて読もう。 https://pic.twitter.com/SKfDmr3NWm


二〇二二年六月十九日 「壁の中」


 1作目は、シオドア・R・コグスウェルの「壁の中」町が周囲を壁で覆われている。壁のなかでは魔法が使える。少年は自分でグライダーを作って壁の上に昇る。壁のうえで監視者である先生に見つかる。これからは壁の外で魔法の使えない世界で生きるのだと言われる。外には少年の父親が待っていた。これも読んだことがあった。『世界SF全集』の第32巻・短編集・現代篇に入っていたものだった。タイトルだけでは思い出せなかったのだが、読むと、タイトルどおりの作品だったので、自分の記憶していないものが、この本にまだあるかもしれないと思った。

 2作目は、ドナルド・A・ウォルハイムの「暴風雨警報」隕石が砂漠に落ちた。行ってみると、ガラス玉のようなものがいくつかあった。それは地球の大気を変えようとして知られざる臭気を発していた。アメーバ状の生物がいた。しかし、地球の暴風雨によって、それらは消滅した。というだけの話。


二〇二二年六月二十日 「反対進化」


 3作目は、エドモンド・ハミルトンの「反対進化」このタイトルの短篇集『反対進化』でも読んだことがある。地球人が、じつはもっと優れた種族の退化したものであるという話である。


二〇二二年六月二十一日 「西原真奈美さん」


 西原真奈美さんから、宮尾節子さんとのツイート連詩集『ふたりの普段詩2 母恋』を送っていただいた。むずかしい言葉を使わない。アクロバティックな言葉の使い方をしない。ごくありふれた言葉を使って、詩情を醸し出している。
https://pic.twitter.com/0uMtH0IiUG


二〇二二年六月二十二日 「死都」


 4作目は、マレイ・レンスターの「死都」20000年前の遺跡からステンレススチールの刃物が出土した。主人公は、隊を組んでさらに遺跡を探した。そこで見つかったのは、異星人たちの都市の跡で、彼らは地球人から快楽を得ていたのだった。主人公たちはうまく爆薬を仕掛けて異星人たちを退治した。 


二〇二二年六月二十三日 「手品」


 5作目は、フレデリック・ブラウンの「手品」友だちに信じられないような手品を見せた青年に、おもしろいスリラーがあると言われる。違う世界の生物がこの世界に住みつき人間に化けているという物語だ。言われた友だちは、べつの作品が読みたいと言う。

 6作目は、ウィルスン・タッカーの「ここは地球だ」突然現われた男に、ここはどこかと訊かれて、「火星だ」と答えると、その男は卵型の爆弾を自分の額にぶつけて爆死した。つぎの日、また男が現われて質問してきたが、こんどは、「地球だ」と答えたが、またしても男は卵型爆弾を額にぶつけて爆死した。


二〇二二年六月二十四日 「真夜中の太陽」


 7作目は、ロッド・サーリングの「真夜中の太陽」太陽から軌道がそれて限りなく冷たくなっていく地球で、太陽に地球が近づいていって殺人的な暑さになっていく夢を見た女性が主人公。この作品は、文春文庫の『ミステリーゾーン2』で読んだことがあった。徹底的に皮肉的な設定に感心したものであった。

 8作目は、リチャード・マシスンの「奇妙な子供」主人公は勤め先から帰る途中、自分の住んでいる住所を忘れてしまった。名前すらも思い出せなかった。子どものときに、父親の発明したタイム・スクリームのなかに入って機械が作動して一九一九年の世界にやってきたのだった。ひとりの男が迎えに来た。

 9作目は、ウィル・F・ジェンキンズの「くりのべられた審判」知能を持った兵隊アリがいた。どんな動物も穀物も食い散らかしてしまう獰猛な昆虫だ。主人公は昆虫学者で、その兵隊アリたちを罠を仕掛けて殺した。二十頭の牛や豚の死骸にヒ素を盛ったのである。昆虫もヒ素で死ぬのであった。


二〇二二年六月二十五日 「日原正彦さん」


 日原正彦さんから、詩集『はやく来て─子どもの詩─』と、同人詩誌『橄欖』第125号を送っていただいた。どちらも短い詩が多く、わかりやすい語彙と文法で書かれてある。日常から離れることのない、やさしい詩ばかりだった。 https://pic.twitter.com/EMouemjsDN


二〇二二年六月二十六日 「静かに!」


 10作目は、ゼナ・ヘンダースンの「静かに!」消音機を発明した男がいた。男が出す音にも反応した。消音機は男を殺した。妻にも襲いかかってきた。母親にも襲いかかってきた。心臓の鼓動にも反応するのだった。ヘンダースンらしからぬブラック・ユーモアのある作品だった。

 11作目は、ジョー・L・ヘンズレイの「最後の地球人」地球人はアルクトゥルス星人にやられて捕虜としてわずかに生き残って、星人の宇宙船で連れられてきたが、途中で星人は悪夢を見だす。じつは地球人だと思って連れてきたのは、吸血鬼たちだったという話。

 さいごの12作目は、R・シアーズの「災厄」災厄の予兆を感じ取ることのできる新聞記者の物語。さいしょは、好きになった踊り子がそういう能力を持っていたのかと思わせる記述だったが、終わりに真相がわかるというもの。

 きょうから寝るまえの読書は、海外SF傑作選『クレージー・ユーモア』収録作12作中、読んだ記憶のあるのは、デーモン・ナイトの『人類供応法』と、マック・レナルズの『時は金』の2作ののみ。初読が多いとうれしい。楽しみ。 https://pic.twitter.com/nWDtgLxwzQ

 あっ、アンダースン&ディクスンの『バスカヴィル家の宇宙犬』も読んだことを思い出した。未読のものといっしょに読んでいこう。


二〇二二年六月二十七日 「夢」


 夢を見た。ドイツ占領下のフランスで、ぼくはフランス人のスパイだった。写真をチョコレート菓子の包み紙に仕込んで運んでいたが、潜伏先で盗まれた。あたふたしているところで目が覚めた。

@RT36115795 ときには夢に騙されて、はっとすることがあります。


二〇二二年六月二十八日 「一色真理さん」


 一色真理さんから、同人詩誌『ファントム』6号を送っていただいた。おなじみの詩人の方が何人もいらっしゃって、その方たちの最新作を読めた。ありがたいことだ。さまざまな詩人がいる。さまざまな詩がある。 https://pic.twitter.com/nUMLjowT4a


二〇二二年六月二十九日 「もののかたち」


 海外SF傑作選『クレージー・ユーモア』1作目は、レイ・ブラッドベリの「もののかたち」妻が生んだのはピラミッド型の青い赤ん坊だった。異次元の生き物だった。夫婦は赤ちゃんを愛するがゆえに、自分たちを異次元に送る装置によって、赤ちゃんの異次元での姿に出合う。夫も妻も異次元に行き、白い長方形であったり、矩形であったりした。

 2作目は、クリーヴ・カートミルの「ナンバー9」実験用のウサギが眼鏡をかけて新聞を読んでいた。博士の実験が成功したのだ。しかし、ウサギは実験の器材とノートをもって博士のもとを去った。ウサギ自身が自分たちの知能を高めることができるために。


二〇二二年六月三十日 「人類供応法」


 3作目は、デーモン・ナイトの「人類供応法」文春文庫の『ミステリーゾーン3』に、「人類饗応法」のタイトルで入っていて読んだものだった。宇宙人が地球にやってきて、人類に奇跡的な発明品を与え平和をもたらしたのだが、人類は宇宙人を信頼したが、じつは人類を食べるためにやってきたのであった。この作品はまた、創元推理文庫の『ギャラクシー』上巻にも、「人類供応のしおり」のタイトルで入っていて、こちらも読んだ。宇宙人が親切であったと思わせておいて、じつは、それが人類を食料にしているものだというのはショッキングな内容だった。宇宙人の書物の1冊を翻訳してそれがわかったのだ。

@lzSbTWvooJWritQ 愛他主義はないというのが教訓の物語なのでしょう。

 ひじょうに印象に残る作品である。トム・ゴドウィンの「冷たい方程式」や、ロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」や、ウォルター ・テヴィス,の「ふるさと遠く」のように、短篇1作だけでもSF史に名前を残せる作品だと思う。作品自体はグロテスクなブラック・ジョークだけれど。


二〇二二年六月三十一日 「クレイジイ・プラセット」


 4作目は、フレデリック・ブラウンの「クレイジイ・プラセット」二つの太陽のあいだを8の字型にめぐっている惑星で、そこでは、一定期間、不思議な視覚効果がある。見た目のままではない状態になるのだ。そんな惑星上での恋愛ごと。楽しく読めた。フレデリック・ブラウンは、やっぱり一流の作家だ。

 ウォルター・テヴィスの『ふるさと遠く』がいまいくらくらいするのか見たら、Amazon で、5980円だった。ついさいきんまで、1000円くらいだったのに。傑作の短篇集だが、5980円は高いな。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E9%81%A0%E3%81%8F-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%83%86%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9/dp/4150106835/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E9%81%A0%E3%81%8F&qid=1609399390&sr=8-1




自由詩 詩の日めくり 二〇二二年六月一日─三十一日 Copyright 田中宏輔 2022-11-14 17:17:40
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