しまうまの背中のほとりから
入間しゅか

しまうまの背中のほとりから
ぽとりぽとりと
鳥がしたたり
私は保健室にまたがる
星と星を繋ぐ線の上
補助輪の外れた犬が
がーがーきぃーきぃー吠えている

森を抜けると
海があり
ここが島だったことを
思い出した
墜落したヘリ
舳の曲がった船
唐突の雨
「いたいいたい」と
虎落笛が呼んでいる
カーテンを開けなくちゃ
来世には間に合いますように

ずぶ濡れの蜻蛉みたいに
水たまりで雨宿り
帰る家を忘れた身体
両手でぎゅっと
抱きしめた
しまうまの背中のほとり
もう鳥はいなかった
保健室は真っ暗で
着飾った私だけが
ぽっかりと浮かび上がっいた


自由詩 しまうまの背中のほとりから Copyright 入間しゅか 2022-11-11 08:47:45
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