お味噌汁をどうも
室町

お椀一杯ぶんの水が入った
凸凹の手鍋に
煮干しが三匹浮いている
ガス台の青い炎が
ボッとつくと
鈴のような管弦楽が
まかないに響く
 フライパンが
小さくこすれ
 陶皿が
かすかにあたり
 長箸が
軽くうたれ
 油が
ぴっとはねる
手鍋に
味噌がはいると
「卵待ちやで」という
小さな声
かしゃかしゃ
じゅううう
フライパンに流された
溶き卵がふくらみ
気泡が
ぷつ
 ぷつ弾けている
からん
しゅっ、しゅっ
ポン
折り畳んだ卵焼きを浮かせた
だけの
味噌汁一椀ができて
炊きたてごはんのあまい匂いが
濃くなる




自由詩 お味噌汁をどうも Copyright 室町 2022-11-11 07:13:14
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