題詠マラソン2005 011-020
汐見ハル

011:都

ただここにいるんだよって告げたくて座標なき都さまようアネモネ


012:メガホン

汗だくでパスワードはじくメガホンが甘い言葉は要りません、と夏


013:焦

やわらかく愛を踏む音から逃げず少女の瞳に宿りし焦土


014:主義

いつだって捨てられること知りながら背負う自分をやめられぬ主義


015:友

恋のほうがずっとシンプル契約です「友だちだよね」言ったら負ける


016:たそがれ

さよならといわないひとにさしだした たそがれめいたTシャツのこと


017:陸

重力がない陸に行きたい人魚土を削ったかかとの痛み


018:教室

教室の電気の点け方忘れては足音が凍(し)む午後七時二分


019:アラビア

番号はアラビア数字でよろしくと告げた瞳に灯る疑問符


020:楽

楽になりなさい楽にともがくゆび忘れえぬ記憶絡む水草


短歌 題詠マラソン2005 011-020 Copyright 汐見ハル 2005-05-07 09:14:25
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