脱出(十三)
朧月夜
「分かった。俺は俺の妻を救いに行こう。おい、ヨラン!
次元跳躍の魔法は使えるのだな? 彼女の前に跳躍してみせろ」
「何とおっしゃします、騎士様。あれは、この身をすり減らすものなのですよ?
滅多なことでは、使えないのでございます……」
「これが滅多なことではなくて、何であろうか。
エインスベルの処刑は、予定では二日後だった。
クーラスは、万全の準備を整えているに違いない。
俺のイリアスに手出しをしたら、俺は、奴らを全員八つ裂きにしてくれる!」
「ヨラン。アイソニアの騎士のことは、任せた。では、わたしとリグナロスとは、
戦士エイソスの元へと向かうとしよう。何、祭祀クーラスも、
わたしたちが時間を超えて旅をした、などとは思っているまい。
わたしの処刑は、二日先にあるべきことなのだ。それまでは、
奴らも油断しているであろう。問題は、彼らがその心の奥深くに、
何を隠しているかだ。アイソニアの騎士も、ヨランも、それを探ってほしい」
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クールラントの詩