ぽかんと生きて
ひだかたけし

ぽかん、ぽかんと
生きている

危機に瀕しながら

生き生きとして
地を踏み締め
天を見上げ
海を想う



夕陽に燃える
水平線、
湾曲して
波逆立ち
溶けていく
太陽と大洋

独りの声の響きが壁を造り
やがて紅いろに崩れ
「私は死にかけ努めている」
と歌う、うつくしく
やがてあなたは死に入り
肉体を衣のように脱ぎ捨て
宇宙へ還っていく、
飄々と聖なる旅路へ




薄明の深い森の入り口に立ち、

ぽかん、ぽかんと
生きている

危機に瀕しながら

生き生きとして
地を踏み締め
天を見上げ
海を想い




太陽と大洋が溶ける、
永遠の剔抉だ
沈みながら沸き立ちながら

太陽と大洋が溶ける!

衰退するもの、持続するもの
存在するもの、律動の感触

震えながら
込み上げるものを
最後の投擲へ、
始まりの入り口へ、

思考し詩想し一気に掴み

ぽかんと生きて、
生き生きと息して、

ひたすら此処に刻み込む







自由詩 ぽかんと生きて Copyright ひだかたけし 2022-11-08 18:59:36
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