「乾いたシグナル2」
ジム・プリマス

十六年九ヶ月前の過去の俺が聴いていた
滅び 滅び 滅び 滅び 滅び 滅び 滅び、という
乾いたシグナルの源泉が、現在、分かった
今日の日本のことだったんだ
国土(特に地方)は荒廃し
地方の高速道路は高速とは名ばかりの対向二車線だらけで
計画はあったにしても四車線化は遅れ、非接続の地域が多く
俺の住んでいる四国の鉄道でも電化と複線化が遅れ
時代遅れのディーゼル機関車がいまだに走っている
全国の整備新幹線計画は頓挫し、一向に進まず
地方の赤字の路線は廃線の恐れがあり
日本の鉄道網も途切れるかもしれない
若者の貧困(主に経済的な理由)が原因で
生まれてくる子供の数は減り
地方の農業、酪農業、畜産業、漁業、林業や
中小零細建築業や大手以外の零細製造業などは衰退し
それらに従事している人々の高齢化と後継者不足により
それら産業の要であるモノ作りの匠たち(人)も
積み上げてきたその熟練の技(技能、技術)も
他では得難いその貴重な経験(ノウハウ)も
永遠に失われようとしている
地方のトンネルや橋や道路などのインフラは老朽化し
国土強靭化計画は遅々として進まない
自衛官たちは、いつ日本を取り囲んでいる大国に
攻め込まれるか分からないというのに
耐震化が遅れている骨董品級の古い兵舎で寝起きし
十分な装備も弾薬も与えられずに
その処遇も決して良くはなく
常に人員不足に悩まされている
戦車を含めた車両や戦闘機などの航空機では
部品不足のため共食い整備が常態化している
そのような壊滅的な状態を改善するために
防衛省が五ヵ年で四十八兆円の予算案を出すと
財務省の傀儡である財務大臣が
「防衛省は自己改革と合理化を」
という狂っているとしか思えないことをのたまう
小泉政権以後、狂った新自由主義者たちが
規制緩和、構造改革と称して
国鉄を民営化したり
電力事業やガス事業、水道などの公的事業や
地方自治体などの公的な組織に
自分たちや自分の仲間を新規参加させたいがために
自由化や民営化を進め
公共的に必要とされる
機関、事業、資本、人、技術、ノウハウを毀損してきた
財務省の傀儡である岸田政権は
後期高齢者の医療費の負担増
国民年金の納付期間の延長などの
社会保障の改悪を行おうとしているうえに
直轄の諮問機関である財政制度等審議会は
安定財源と称して
消費税増税、防衛増税、自動車の走行距離課税、を言い出し
令和四年度は史上最大の税収があったにも関わらず
インボイス制度導入という名の
消費税増税をしようとしている
まだあった雇用保険の増額もだ
財務省と、狂った新自由主義者が推し進めてきた
過激で破壊的な、「緊縮財政」の結果
日本国は正に現在、亡ぼうとしている
俺に聴こえてきた乾いたシグナルは
日本滅亡の黒幕である、財務官僚たちの
歪んだ自己愛の集合想念と
その背後に膿のように溜まっている
真っ黒な虚無の深淵から
流れてきていたんだ



自由詩 「乾いたシグナル2」 Copyright ジム・プリマス 2022-11-08 15:41:22
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