逆流
足立らどみ

逆流

先のイクサが終わり
新しい石垣は重量感がなく
曲がり角の隙間の爆発物の
二本のコードの前で処理班が
頭を抱えていたころ

時を誤魔化したみどりの女人は
旗の手入れに余念がなく「
急に現れる大型に気をつけてと
ときおり
誰もいない通りにむかって
声をかけている

そして最後には繰り返す
他人事と思わないで」と

ときめきはインスタントに
常盤の森のアパートの中で
ミニチュア達が作り続けていて

ピエロが会話している相手の
ピエロのボディランゲージも
実は聴衆へ話しかけているのは
周知の事実なのだ

暗転

目眩く逆流に抗ってしまい
走馬灯は破壊されていく







自由詩 逆流 Copyright 足立らどみ 2022-11-06 20:07:48
notebook Home 戻る