脱出(五)
朧月夜

「よくご覧なさいませ。ここは、過去の時代の神殿でございます。
 神殿には、そこに捧げられた武具というものがあるもの。
 お探しであれば、あなた様の武具も見つかりましょう……」
「必要以上の敬語は止せ、ヨラン。しかし、武具か……」

エインスベルは思い迷うようだった。エインスベルは、
これまでは雷撃の属性を付与したクォータースタッフを使ってきた。
それに勝る武器は、早々には見つけられそうもない。
しかし、ここはヨランの言に従うことにした。

エインスベルは、神殿のそこかしこを探り、一本のダガーを見つける。
「お前には、そんな武器も似合いだな?」アイソニアの騎士が皮肉を言った。
「敵を引き付けて、斬る。戦法に、それに勝るものはあるまい?」

ダガーを見つめながら、エインスベルは、どうやらいつものエインスベルに戻ったようだった。
強気で、勝気な。アイソニアの騎士は憮然としていたが、ヨランはほっとする。
そして、リグナロスは、これからどう彼らを導いて良いのか、と思案していた。


自由詩 脱出(五) Copyright 朧月夜 2022-11-06 17:26:03
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クールラントの詩