月の光2
ひだかたけし

白い途をとおって
月の光は
やって来る
ぽっかり
内部から浮かぶ
ように
ひょっこり
内部から立ち上がる
ように

しんとして、しんとして

染み渡り浸透する
肉を掻き分けて
肉を貫いて

しろく、しんしんと、
しろく、しんしんと、

流れていく
離れていく
なにものかの、接触


地中深く眠り込んだ遺跡を
清明に静かに掘り起こす
こんこんと湧く
温かな感情に
包まれて

地中深く潜む太古の響きを

  *

白い未知をすかして
月の光は
到来する
ゆっくり
外部から流入する
ように
ゆったり
壁を溶かす
ように

果てることなく流れ去る日常のなか、

月の光は今日も、今にも

ひそやかに しんみつに








自由詩 月の光2 Copyright ひだかたけし 2022-11-05 17:37:39
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