月の光2
ひだかたけし
白い途をとおって
月の光は
やって来る
ぽっかり
内部から浮かぶ
ように
ひょっこり
内部から立ち上がる
ように
しんとして、しんとして
染み渡り浸透する
肉を掻き分けて
肉を貫いて
しろく、しんしんと、
しろく、しんしんと、
流れていく
離れていく
なにものかの、接触
地中深く眠り込んだ遺跡を
清明に静かに掘り起こす
こんこんと湧く
温かな感情に
包まれて
地中深く潜む太古の響きを
*
白い未知をすかして
月の光は
到来する
ゆっくり
外部から流入する
ように
ゆったり
壁を溶かす
ように
果てることなく流れ去る日常のなか、
月の光は今日も、今にも
ひそやかに しんみつに