冷たい朝
ひだかたけし
層なす雲が
冷気とともに
やって来る
空の青み、
ぽっかり
空け
うっとりゆっくり
歩を進める
わたしの
透明な足を
掬っていく
宙に浮かぶように
宙を彷徨うように
意識は柔らかく身を起こし
耳鳴りの渦に巻き込まれ
足場をたゆたい探りながら
今日も俺は生きるのだ、
今日を俺は生きるのだ、
遠く海鳴りの貝の殻
原初の大洋のただ静謐
世界のざわめきに
息を殺し
時の裂け目に
手を伸ばす
*
層なす雲が
冷気とともに
やって来る
空の青み、
ぽっかり
空け
ゆっくりしっかり
生き始める
わたしの
醒めた心魂を
澄んだ面持ちで
抉っていく