ずめん
soft_machine

たくさんだね 地図
古びた町でひろがり測る

今朝も迷路 団地の配置図
いつか眠いまま 勾配でいられなくなる
朽木の根元で春にさらわれ
溶けた子どもらが
きゃあきゃあ流れてく

たまらず森へ行くと
空から たらいを落とされた
はずみ返して 散る地図
音は減らされるばかりのイグアナ
足首 硝子体 鱗の分布
走りすぎて熱い 腱の不備
くちびる毎にひき剥がされて
階段をのぼる
ひかり記す
赤紫プラズマ滞留
王さまのつま先
スクリン染めた 鳥の繁殖表
たまごを洩れた 黄金雨

それから秋が降る図 とてもあざやかな
スマホも濡れる一瞬
繋がる誰かの 切なる雲を
こらえて叶う
静まるこころの高低差
君は あわい蛹みたいで
かなしみは やさしいふりして
なみだを剥きだす
雪のなぎさから
あしのひらが
つかんだ衣
こんなにもか細い いのちでつないだ小舟は
土に沈みかけていても どうか

進むことだけは諦めないで
この宇宙も切り離されている途中だから
どこまでも白い 平面だから



自由詩 ずめん Copyright soft_machine 2022-11-04 19:28:34
notebook Home 戻る