虹の魔法石(十一)
朧月夜

虹の魔法石は、魔力を吸収する。その内部でどんな働きが起こっているのか、
ヨランも、エインスベルも、ましてやアイソニアの騎士やリグナロスなど、
思い至るところではなかった。この魔法石は、
この世の理を超える存在かも知れないのである。

だが、エインスベルは怯まなかった。例え、世界を崩壊させてでも……
そこまで思っていたわけではない。しかし、クーラスの野望は討ち果たす必要がある。
祭祀クーラスは、次のライランテ戦争に備えている。
それを招き寄せるのも、防ぐのも、共に一つの道だった。

エインスベルは、ただクーラスの野心に対抗しようとしていた。
「目の前にある死」こそが、忌むべきものなのである。エインスベルは、
仲間たちが殺害されることを良しとしていなかった。

「わたしは、もうわたしの仲間を殺させることはしない」エインスベルは、叫んだ。
そして、空間断裂の呪文によって、結界にひびが入る。
台座の上に据え置かれている虹の魔法石が、鈍い光を放った、それは……


自由詩 虹の魔法石(十一) Copyright 朧月夜 2022-11-03 21:57:05
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クールラントの詩