虹の魔法石(九)
おぼろん

エインスベルの右手が光り、雷撃の呪文が放たれた。
結界が火花を上げる。しかし、その結界は揺らがないようであった。
「なるほど、強力な結界のようだ。
 すべての魔法が無効化されるというのも、頷ける」

エインスベルは、冷静な表情を崩さずに言った。
しかし、リグナロス、ヨラン、アイソニアの騎士は焦っている。
「では、これはどうか。ヒアシム・カイン!」
それはライランテ戦争でも使われた、空間を断裂させる呪文である。

呪われたこの魔法を、エインスベルは再び使用した。
空間に、わずかに歪みが見られた。そして、結界が茫洋とした相貌となる。
「この方法は有効かも知れない。しかし、わたしは再び魔に落ちるか……」

エインスベルは、次々とヒアシム・カインの魔法を放っていく。
「エインスベル様、建物が崩れてしまいます! やはりその魔法は強力すぎるのでは……」
「心配ない。ヒアシム・カインはすべて虹の魔法石に吸収されている」


自由詩 虹の魔法石(九) Copyright おぼろん 2022-11-03 21:55:02
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クールラントの詩