沈黙の森
ひだかたけし

白髪が
人差し指に
引っ掛かり

もつれる時、

深い森は唸りをあげ
不安定な内面を抉る、
汗ばむ手のひら
崩れる砕氷

青い天空は相変わらずに
その豊かな乳房を揺らし
通りすぎる白いセーターの女

森は揺動する、
均衡を欠いた内面に
剥き出される世界

死と生は絶えず入れ替わり、
歯軋りする太陽の輝きに、
モノというモノ、照らし出され

わたしは震えながら瞑目する

秋、

進み行き

秋、

過ぎ行き

深い森の沈黙、
私という存在












自由詩 沈黙の森 Copyright ひだかたけし 2022-11-03 11:59:55
notebook Home 戻る  過去 未来