虹の魔法石(八)
朧月夜

「ヨラン。今が何時の日か、知っているか?」
「リールの月、十一日でございます」
「わたしの裁判と処刑まで、間もないな」
「おい、盗賊。何のことを言っているのだ! 早くここを脱出するのだ」

「待て、アイソニアの騎士よ。今、この監獄は厳重に警備されている。
 わたしの裁判は、リールの月、十三日だ。
 そして、クーラスは多分安心しきっているのだろう。
 この魔法石がわたしを封じ込めておけると……」

「おっしゃることが、よく分かりません。エインスベル様」
「あれは厄介なものだが、半面容易なものでもある。
 あの虹の魔法石すら何とかすれば、この監獄はさらに無防備となるであろう」
 
「あの魔法石を破壊するのですか? でも、この結界をどうやって?」
「心配するな、ヨラン。今のわたしには、魔法が使える。
 まずは、ヨーラ・テルを試してみよう。結界を解けるかも知れぬ」


自由詩 虹の魔法石(八) Copyright 朧月夜 2022-11-02 21:42:24
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クールラントの詩