夜の底
ミナト 螢
コップを
ひっくり返したような
暗闇に
黒い薔薇の花が
浮かんでいる
大切なものを
落としたから
爪先で触れた
夜の温度に
君を足して
探しに行く
棘に包まれた言葉は
痛くて話せないと
泣いていた
夜の底に
座りながら
毛布で出来た
翼を広げて
温かくしてあげる
自由詩
夜の底
Copyright
ミナト 螢
2022-11-01 18:58:04