秋へ
室町
雲や水や花ではなく
なんでもない洗濯物の影が
手もとでゆれるのを
じっと見ていた
この季節は
すべてが美しく
時間が過ぎることに
なぜか
得体のしれない焦燥にかられる
公園からは
顔も知らぬ子らの声だけが
低く
重く
高く弾け
やがて澄み切った回廊の奥に
小さく消えてゆくのだった
秋という爆弾が落ちたあとの
焼け野原には
影だけが
やさしく
いつまでも
ゆらめいている
自由詩
秋へ
Copyright
室町
2022-11-01 12:24:58