虹の魔法石(二)
朧月夜

「ヨランよ、アイソニアの騎士よ、どうしてここへ?」
「ここまでの衛兵は、全て騎士さまが倒しました。しかし帰りは……」
「何だと? 良くやったな、ヨラン。そしてアイソニアの騎士……。
 ここにいるのは、わたしの味方、リグナロスだ」と、エインスベル。

アイソニアの騎士は、このハーフオークの全身を睨(=ね)め回した。
(ふん、所詮は体制の犬であろう。エインスベルにとっては、この男は敵だ!)
しかし、そうではなかった。リグナロスは、祭祀クーラスの動向を探っていたのである。
そしてエインスベルも、いつしか彼に対して心を開いているようだった。

「クーラス様。いえ、クーラスは、今策謀を巡らせております。
 そのことについて、エインスベル様にだけでなく、あなた方お二人にも、
 お耳に入れておきたいのですが……」
 
「その前に、この牢獄の扉を開くべきであろう? ハーフオーク」
「尤もですね。ここに、この監獄の鍵があります。苦労して入手したものです」
「なるほど。それほどの労は尽くしているということだな? ハーフオークよ」


自由詩 虹の魔法石(二) Copyright 朧月夜 2022-10-31 17:10:53
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クールラントの詩