アースレジェへの帰還(八)
朧月夜
「分かった、ヨランよ。お前はエインスベルを救えるのであろう?
わたしは、そう出来なかった。今は……いや、言うまい。
今回の遠征のこと、俺は誇りに思うぞ、盗賊ヨラン。
お前は、龍族と交渉し、虹色の魔法石を手に入れたのだ。これで……」
「騎士様。わたしが交渉できたなどと、お思いになりませんように。
いつかは、龍族がこのアースレジェに、攻め込んで来ることも
ないとは言いきれないのです。ただ、今はエインスベル様の身を、
どうかお案じくださいませ。わたしに出来ることとは、そればかりです」
「うむ。そうだな、そして、ここからはどうやって脱出する?」
アイソニアの騎士は、わずかに痛む右の手のひらを見つめながら、答えた。
ハーレスケイドから弾き飛ばされた瞬間、彼は右の手に怪我を負っていたのである。
「ご心配なさいますな。わたしは、ここに来るのは二度目でございます。
この地下室からは、比較的容易に脱出することができるでしょう……
あとはリグナロス殿が、監獄において準備を計ってくれていたら良いのですが」
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クールラントの詩