老婆とポイントカード
宮木理人

朝起きて
窓を開け
詩を書きます
って言いました

そしたら俺は詩人になった
遠くで老婆がこっちを見ていた

階段を降りて玄関を出て
虹色に輝く木刀で斬り裂いた

あの老婆の
ポカンとした顔
ポイントカードはお持ちですかって聞かれたときの
俺のポカンとした顔
と似ていた

せっかく作ったのに
使われることのないポイントカードは
今どこにあるのか

詩だって作ったのに使われることはない

人は生きていると
世界との関係を組み替える
言葉が必要になる

木刀はごぼうに変わり
俺は自販機で買ったコーラを
自分の影にかけてから
家に戻った



自由詩 老婆とポイントカード Copyright 宮木理人 2022-10-30 00:09:53
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