アイソニアの騎士とエランドル(七)
朧月夜
「ふん。時間だと? ここでは時間の流れが止まっていると、
嫌というほど聞かされた。大方、お前は不死の存在であるのだろう。
それに、お前はオスファハンに虹の魔法石を与えたというではないか?」
「正確には違うな。二つの点において」と、エランドル。
「第一に、わたしは不死ではない。いずれは、この身も朽ちる存在だ。
そして第二に、わたしはオスファハンに、虹の魔法石を与えなかった」
「なんだと?」アイソニアの騎士、そしてヨランも驚いた。
「では、なぜオスファハン様が虹の魔法石を……?」
「わたしは、彼が危険だと思ったのだ。だから、オスファハンには会わなかった。
わたしは、ライディンゲルを通じて、彼に虹の魔法石を渡した。
やがて、次に来る者のために……」エランドルのその時の表情は、憂いに満ちていた。
「それは、エインスベル様……」ヨランが、思わず言葉を発する。
──そんなヨランを、アイソニアの騎士は横目で睨んだ。
「どうやら、お前は策謀家のようだな、エランドル?」
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クールラントの詩