アイソニアの騎士とエランドル(一)
朧月夜

「さて、あなた方をお導きいたしましょう。エランドル様の元へ……」
人間体に戻ったオーマルが言った。しかし、アイソニアの騎士とヨランとは無言である。
「あなた方の心は承知いたしました。ですが……、
 エランドル様が全てを見通す者であるということを、お忘れなきよう」

アイソニアの騎士とヨランの無言にも、理由があった。
この女の仲間は、先ほど我らが同志の命を奪ったではないか。
そこに、対話など不可能ではないのか? ──と、二人は思っていたのである。
ライディンゲルは、まるで蟻を靴底でひねりつぶすかのように、

エイミノアの命を奪った。(意識共有体? ──笑止なことだ)
ここにいる二人、とくにヨランは、オーマルにいて行くべきかどうかを迷った。
(我々は、エランドルというその人間によって、地獄に落とされるのではないか?)

その疑念、その憤りももっともなものだったと、言って良いであろう。
しかし、オーマルやエランドルには、それよりも崇高な意志があった。
この世界──ヨースマルテを救うという意志である。


自由詩 アイソニアの騎士とエランドル(一) Copyright 朧月夜 2022-10-22 15:44:11
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クールラントの詩