コンビニとかで売ってるグラマラスバタフライ 三分バージョン
モマリサ公

記憶が真っ青に
枯れ果てた木々に降り積もり
目では見えない星くずの上で
だんだん夕暮れてく
抗うすべもないまま冬
空腹で消えていく記憶たちの
理由を探してシャッターを切る

ファミリーレストランで隣の席から声がしている
「パンケーキがあるよー 」
「じゃ、そういうかんじにする?」
「目が痛いんだけど、」
「ドライアイ確定じゃない?」

うまれたてのかわいいが最強、
おれはあなたたちを
しらないことを
罪のように感じてる
てゆーかあなたたち
という現象を
まどからみてたら
1分で1時間たったのには笑えた
拍手喝采まるで
「本当のこと」みたいに

高速道路の高架下をくぐって
アクセルを踏み込む
様々な壁面に「タギングされた文字たち」があふれ
リストカッターの薄く汚れた包帯に巻かれた
無言の腕ががっつり
つり革をつかみ
ドラックディーラーの
「丁寧に開ききった瞳孔」に
秋の光が吸い込まれ
徐行しているタクシーが涼やかに
すれすれを通り過ぎるのがサイドミラーに写る

我々は無差別なテロリストが
「最初は赤ん坊だった」
ことを忘れないが
生まれてくるこどもが
「いつか通り魔になる」
ことも予測できない
繁華街の街路樹を
おおう空気は生乾きで
血のにじむ肉色の雲は膿を孕み
地下鉄の券売機に
すばやく吸い込まれて
行く冬のゆくえをみてる
本当はなにが「チャージされてるのか」
意味が「わからない」を
待つ一定の不安感が
すすけていくまぶたを
うっすら閉じたり開いたりさせてる

淀む川面街灯たちがきらきらと映り込んでいる
真っ暗なその果ての海がかすかに匂う、
雑踏をにらみつけながら
そこに行き着くための
経路を頭の中に張り巡らし、

埋め立て地で白い風車は
なにを考えているのだろうか

体中の毛穴がいっせいに開くとき
ランダムな雪が冷えきった体に
旋回しながらふつふつと来る


自由詩 コンビニとかで売ってるグラマラスバタフライ 三分バージョン Copyright モマリサ公 2022-10-18 20:45:50
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