クーゲンドルにて(十一)
朧月夜

「そうだ。彼は賢者だった。そして、我らが意識共有体である
 ということも、すぐに受け入れた。彼は世界の平穏を望んでいた」
「そして、虹の魔法石をお与えになったのですか?」
「与えたのは我らではない。エランドル様だ」

「もともと、ドラゴンとは次なる世界を創出するために、
 生み出された存在なのだ。自然が自然であるために。
 しかし、エランドル様は時間の流れに干渉した。
 このハーレスケイドを作ったのだ。『神殺しの世界』として」

「……どれも皆、初めて聞くことばかりです。わたしは愚かだ」
「愚かとは、欠点ではない。これから成長してゆける素地を持っている。
 お前にはそれがある、と、エランドル様は考えている」

「俺はどうなのだ? 俺は?」と、アイソニアの騎士が尋ねる。
「汝は、エインスベルの仲間。ともに世界を率いてゆく定めにある」
「しかし、エインスベルはもう仲間ではない。俺は、彼女を裏切った」


自由詩 クーゲンドルにて(十一) Copyright 朧月夜 2022-10-18 17:43:21
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クールラントの詩