クーゲンドルにて(八)
朧月夜

「そこで、汝らにひとつの問いをぶつけましょう」
「それは、何でございますか? オーマル様」
「汝らは、戦争というものを、どう思っている?」
「戦争ですか。それは、国と国との争いであり……利益の分配です」

「利益……。かつてこの世界でも、国と国とが争った。
 言語崩壊から千年の間、この世界は破滅に面していた。
 戦いとは、決して推奨されるべきものではない。しかし、
 厳にこのヨースマルテでは、新たな戦争が起ころうとしている」

オーマルが言葉を続ける。
「わたしども、龍族は、汝ら人間の世界を救おうとしている」
「何ですって? 龍族が戦争を止める?」ヨランは驚いた。

「そう。ここにいる千のドラゴンは、もともとはアースレジェに住んでいた。
 それを、エランドル様が招き寄せたのです。さらなる混乱を防ぐために」
「龍族が我々の味方? そんな考えは初めて聞きました」


自由詩 クーゲンドルにて(八) Copyright 朧月夜 2022-10-17 16:54:04
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クールラントの詩