品性の喪
草野春心



  かの女は亡くなった
  たとえばの話 飴玉を 歯でくだいた

  あらい生地の 喪に服して
  いななこうとする肌の
  ごく健康な寒気

  葉かげでつぎつぎ破擦する 秋の虫の
  宝石匣に詰められ わたしたちは
  品性のかたちにくずれていく



自由詩 品性の喪 Copyright 草野春心 2022-10-16 14:49:26
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