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千本の針を手ひどくかき回すような
天の裂け目から吹きこむ 風
ざらざらはしる 風

わたしもうす暗がりの午後を 呆然と
ただ呆然と
はいつくばって 見ていた

髪をおさえて耐えていた 瞳から
ころり、と なみだが転がった
この風ならば、と

風に
なみだを
あずけていいんだ、と
目も鼻も唇も
いいように叩かれた
じゃあ泣けばいいんだ、泣いたって
構わないじゃないか
大人も
子どもも
いつの間にか
身を寄せあって泣いていた
指をぽきぽき鳴らして泣いていた

そうして雲の縫いあわせがおわり
色々な音が聴こえだして
変形した空き缶からはい出すと
ほうきの掃き手が 笑いながら
山をまたいで去ってゆくところだった
街をふみしめ
虹を燃やして
輪郭に頼らない力で溢れた後には、風

なみだは一面 過去になる
そして 振り向けば、風



自由詩Copyright soft_machine 2022-10-14 16:33:38
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