初秋のうた
ひだかたけし

この曇天の大気に

秋の甘やかな匂い
微妙に含まれ漂い

確かな秋という季節の現れが
わたしの意識を鮮明にする


用水路の土手沿いに
赤々と咲き並ぶ
彼岸花は未だ
見い出せず 

街道の十字路脇に
生え広がる
大木の金木犀も
未だ咲かず

なのに、この大気に含まれた
秋の甘やかな匂いの漂流

それは天空が発散した
一つの大いなる祝福だ

わたしの意識はこの初秋に開かれ
わたしの意識はこの初秋に抱かれ

わたしはこころのなか、
戯れ遊ぶ
無垢な子供に還っていく

ああ、秋よ
郷愁の季節よ、
おまえに抱かれた
わたしの意識は
その深い懐に
震え、豊かに融合する














自由詩 初秋のうた Copyright ひだかたけし 2022-10-12 17:25:38
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