LOST MY PROOF
ホロウ・シカエルボク


激しく降り注いだ
雨は
想い出と共に路面で弾け

君は
二度と引き返せない
短い言葉を

鋭利な刃物の
ように
差し出した

雨が上がった後
僕は一人だった
古い
探偵小説の手品の観客みたいに
一人で立ち尽くして
タネの無い手品の
幕引きについて考えていた

流れていた時が居なくなった

無機質なものたちは
無機質であることが当たり前であると
沈黙し
僕は
どこか辺鄙な場所で朽ち果てていく
廃墟のようだった

水のにおいがする
だけど



それはどこへ流れて行くのだろう


自由詩 LOST MY PROOF Copyright ホロウ・シカエルボク 2022-10-11 21:17:19
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