LOST MY PROOF
ホロウ・シカエルボク
激しく降り注いだ
雨は
想い出と共に路面で弾け
君は
二度と引き返せない
短い言葉を
鋭利な刃物の
ように
差し出した
雨が上がった後
僕は一人だった
古い
探偵小説の手品の観客みたいに
一人で立ち尽くして
タネの無い手品の
幕引きについて考えていた
流れていた時が居なくなった
無機質なものたちは
無機質であることが当たり前であると
沈黙し
僕は
どこか辺鄙な場所で朽ち果てていく
廃墟のようだった
水のにおいがする
だけど
それはどこへ流れて行くのだろう