無窮の歌
ひだかたけし

へんてこりんへんてこりん
きづけばそとはザンザンあめふり
なんて望みのない夜だろう

)夜底では
)悪魔がほくそ笑み踊っている
)真っ赤なリンゴを食べろよと
)悪魔がたましいに取り憑いている

小学五生で
胸が膨らみ始め生理が始まり
陰毛も脇毛もはえはじめ
自分がバケモノになってイクミタイダッタ
娘は高校生のときそういった

黙って揺れる
光彩のひろがりは
ただ無限、
ひたすら真っ直ぐ進む
世の時流の彼方に
また源に
リズムとヒビキに満ちる
新たな次元が
在る、という

)肉を喰え!魂を貪れ!
)内奥深く、住み処を構え
)オマエ自身の
)自由の意志を捉えろ!


へんてこりんへんてこりん

ザンザン続く雨降りが
路面を濡らし漆黒の闇
行き交う人々はうつむいて
ひたすら赤い林檎を頬張り食う

今や娘は見事な胸の膨らみを
誇らしげに見せつけて
男どもの欲情を掻き立て
秘めた闇を抱えながら
独り密かに跳躍する

無辺の夜空に
無窮の天空に

おだやかに、たおやかに
流動する大地を蹴って



お父さん、さようなら
わたしはこの土地にはもう何処にも
住む場所が無いのです。










自由詩 無窮の歌 Copyright ひだかたけし 2022-10-06 17:51:41
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