分裂詩
ひだかたけし

薔薇色に燃える桜の血飛沫

まだ生き切ってない、
まだ息切れてない、
「ハッピーエンドは
レベル、高い」*

ふかく、もっと深く
今一度引き寄せられ
ループを描くように
ゆっくり沈み込む
この世界の底へ
深海に蠢く
生々しいその
相貌を持たない
漆黒に渦巻く闇の
ナメコのような
感触ヌルリ

遥か向こうに尖塔が視える
遥かな輝きに塔は聳え立つ
ソレハ
世界と私が出逢った瞬間、
迸るイメージの閃光だ

神秘の源流へ遡れ!

わたしは時間を飛躍する
わたしは時間を遡行する
光在るところ闇が在り
破壊在るところ創造が在り
戦いは繰り広げられ
私たちは深く傷付きながら
中庸を保つ、ただ真ん中で覚醒し

深海を目指し尖塔を目指す
尖塔を目指し深海を目指す
分裂は内部から沸騰し続ける、
詩想が直観が想像力が、正す

この世界の深みへ遡れ!

シンピに沈む、オドロキに躍る
この世界の端っこで



薔薇色に燃える桜の血飛沫
まだ生き切ってない、
まだ息切れてない、
「ハッピーエンドは
レベル、高い」*





*吉井和哉“VS”より異語引用


自由詩 分裂詩 Copyright ひだかたけし 2022-10-05 18:12:14
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