砂漠の行軍(二)
朧月夜
「ヨラン殿の言うとおりでございます」その時、オーマルが口を開いた。
それまで、彼女は一言も発さずに沈黙していたのである。
「その根拠とは?」アイソニアの騎士は、オーマルのほうを振り返った。
「その根拠は、このハーレスケイドという世界の秘密にあります」
アイソニアの騎士とオーマルとは睨みあった。
ハーレスケイドでは、時間の流れが止まっている。そのことは、
ヨランとの話し合いで十分に承知していた。しかし、それは真実か?
幽冥界という異界に来て、アイソニアの騎士もその心情が揺らいでいたのである。
「太陽が三度昇り、沈んだ。月も三度昇り、そして沈んだ。
これは、三日の時間が過ぎたということではないのか?」
「違うのです。わたしたちが何度昼夜を過ごそうと、時間は経ってはいないのです」
「そしてそろそろ、次の魔物が現れるころです。
このハーレスケイドは、皆様の意思を試しているのです」
「ふん。いけすかないゲームだな、これは。現実世界のほうがよっぽどマシだ」
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クールラントの詩