進化・ヤマイに躍り
ひだかたけし

いきなり
雨にたたられ
いきなり
太陽に眼差され

いつものこと

痛む脳髄を携え
痛む目を抱え
花が庭に開くその瞬間を
間違いなく捉える

  *

私たち人間は大自然から
その存在を生み出された
私たち人間は大自然から
その創造力を受け継いだ

外は透明な雨が降りしきり
外は燃え盛る太陽が輝き
折り重なり踊る旋律が
心の奥底に響き渡る

  *

肉の苦痛を歓喜に充たされ突破する
燃え盛る太陽を透明に濡らしていく雨
到達すべき未知のビジョンへの確信

私たち人間は進化し続ける
科学を継承し科学を呑み込み
さらに、さらに、飛躍し
この雨降り燃え盛る太陽の時に

哀しみの河が大洋に流れ込む
哀しみの人が病床で微笑む

  *

わたしは大切な何かを忘れている

寄せ合った肘と肘の感触、
遠く示し合わせたように同時に立ち上がり
閃くように視線が交わった休み時間、
ブランコを押しながら響き合った声の言葉の刻印、
深く直観された愛の残響

  *

いきなり
雨にたたられ
いきなり
太陽に眼差され

いつものこと

歪む脳髄を携え
痛む目を抱え
硬直する肉に悶え
花があの庭に咲き開く
その瞬間を
間違いなく待つ

闇に火を放ち、
ヤマイに躍り、
















自由詩 進化・ヤマイに躍り Copyright ひだかたけし 2022-10-04 18:46:41
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