お化け
atsuchan69
むかしむかし、
山のふもとの村に
可愛い女の子が住んでいました
やがて女の子は、
とても綺麗な女になりました
村中の男たちは
彼女に沢山の贈り物をしました
なかでも鼈甲の手鏡は
たちまち彼女を魅了しました
そしてある日、
彼女は男の子を生みました
それからしばらくして
突然、
手鏡を贈った男が死にました
博打場で腹を刺されたそうです
彼女は男の子ために
くる日もくる日も
一生懸命働きました
着る服はいつも襤褸ばかりで、
手指も荒れ放題でした
男の子が大きくなったころ
鏡に映るやつれた顔の女がいました
女は手鏡の中で笑い、
独り言をつぶやきました
まるでお化けだね、
でもあの子のためなら‥‥
それでもかまわないんだよ