世界の真実(十八)
朧月夜
「さっきの化け物を葬った魔法か? あれは、お前の手柄だった!」
アイソニアの騎士は呵呵と笑ったが、ヨランはすっかり怖気づいていた。
「笑いごとではございません。誰もが、あのような魔法を使えるようになったら?
それは、世界の破滅でございます」
「そんな時は、魔導士が止めれば良い。それでなくして、
なんのための魔導士か」やはりアイソニアの騎士は、強情であり、豪胆である。
「この男を説得しなければならないのか」と、ヨランは内心うんざりした。
(世界には、やはり魔導士が必要なのだ。エインスベル様のような……」
「話はこれで終わりだ、ヨラン。さあ、先へ進むぞ。我らの旅の再開だ」
「話は終わっていません、騎士様!」この時のヨランの叫びは虚しかった。
それまで黙していたオーマルですら、アイソニアの騎士に従おうとしている。
(あなた様は、千のドラゴンよりも恐ろしいものが、この世にあるとご存じない)
それが杞憂で終わるようにと、ヨランは願った。この旅に出るまでの人生で一度も、
彼は神に縋ったり、神に祈ったりすることはなかったのである。
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クールラントの詩