世界の真実(十三)
朧月夜
「あなたは本当にオーマル様なのですか?」ヨランは尋ねた。
「わたしたちの『導き手』の……」と、続ける。オーマルは、
「わたしはいかにもオーマルと申す者。始めにその名を告げたはずだが……」
「承っております。しかし、先ほどの言辞は……」
「先ほどの、とは?」そう、オーマル。
「お前は男の声で話していたのだ。この盗賊、ヨランは、
お前のことをエランドルとか言っていたがな。それは、お前の別の名か?」
「違います。エランドル様はこの世界の支配者。ハーレスケイドの王でございます」
「ハーレスケイドの王? 俺は気に入ったぞ。俺は、
このエランドルとかいうごろつきを、必ず倒してみせる!」
「いけません、騎士様」ヨランは、やはり必死になってアイソニアの騎士を止めた。
もし、アイソニアの騎士が暴走すれば、このハーレスケイドどころか、
ヨースマルテそのものが滅ぶかもしれなかった。エランドルはこの世界の秩序であり、
鎹(=かすがい)であるのだった。一行に漂う、疑念の思い……。
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クールラントの詩