世界の真実(八)
朧月夜
「あなたはなぜ、『言語崩壊』を引き起こしたのですか?
エランドル様。それによって、人間社会が滅びることなど、
分かっていたでしょうに?」──この時のヨランは、探求心を満たすというよりは、
世界を救いたい、という情熱で話していた。
その真摯な姿勢は、オーマル、いやエランドルにも伝わる。
「『言語崩壊』は、我らの仕業ではない。そのことを知るには、
事前にあることについて理解しておかなければならない。
それは、『魔法素子』に関することだ」──オーマルの口を通して、エランドルは言った。
「魔法素子? それにはわたしも興味がございます。魔術とはいったい何なのか?
わたしは、それが一種の科学だと思っているのですが?
例えば、現実世界をも変えてしまう、一つの言語だと」
「その認識は正しくない。魔法素子とは、『生き物』なのだ」──と、エランドル。
「生き物……? それはどういう意味でございますか?」
「魔法素子は生きている。魔法素子とは、微小な機械生命体だ」
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩