世界の真実(四)
朧月夜
「わたしには、かつて愛している者があった」──その声の主は言った。
今、オーマルは単なる傀儡に過ぎなかったのだ。
その声は、世界の秘密を明かそうとしている。
「今、汝らの時と、我の時とは合一する。心せよ、冒険者たち」
「それは、俺のことか?」と、アイソニアの騎士は尋ねた。
「お前のことではない。『お前たち』のことだ、騎士よ。聖なる騎士よ」
「ちっ、俺は分かりにくいことは嫌いでな、そんな事が起きれば、
すぐにでも剣で切って捨てて来た。お前もそうされたいのか?」
「その無礼な調子も、許すとしよう。だが、お前たちはエインスベルのために
ここへと来た。そうではないか?」──一行の思いを見透かすように、その「声」は言った。
そう言われては、アイソニアの騎士も口を噤むしかない。
「エインスベルのことを知っているのか? 女!」辛うじて、そう叫ぶ。
「我は女ではない。今、我の躯体となっているのが、この女である。
我は、エランドル・エゴリス。世界の再生者である……」厳かに、声は言った。
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クールラントの詩