九月の白い公園
塔野夏子
九月の白い公園には
壊れがちな光が降り
睡たげな水がめぐり
ところどころ
彫像のように置かれた
不在
欠落
空虚
彫像のように
けれど輪郭は持たず目に見えず
けれどたしかに置かれてあるそれら
のそばを通りすぎる人と
時折ふと立ち止まる人と
まるでそれらの引力に捉われたかのように
そばのベンチに坐る人と
睡たげな光が降り
壊れがちな水がめぐり
九月の白い公園は
さやかに世界を忘却している
自由詩
九月の白い公園
Copyright
塔野夏子
2022-09-25 10:16:57