ハーレスケイドでの戦い(四)
おぼろん

「過ち? それは奇妙な言葉です。あなたがたはすでに、ダルザジアの群れを追い払いました。
 それは、このハーレスケイドにとっても良きことです。
 わたし、オーマルは、この世界の代表として感謝いたします。
 あなたがたは、この世界へ『良き影響』をもたらす者だ、と」

「良き影響? そんなものはどうでも良いのでございます、オーマル様。
 いえ、あなた様に向かって、このような物言いは適切でございますまい。
 わたしは、今も迷っているのでございます。わたしたちは、本来への道を失したのではないか、と?」
「あなたは、その正しい道を進んでいます、ドワーフよ」

ヨランははっとする。──(オーマルとは、この世界の巫女なのではないか?)と思ったのだ。
それは、当たっているとも言えたし、外れているとも言えたであろう。
オーマル・リケイディア。この世界の言葉で言えば、「絶えた者を率いる者」。

ヨランは、ぐるぐると旋回するような頭のなかで、考えた。
「良きこと? 良きもの? 彼女が我々をそう遇してくれるのであれば、
 拒絶する理もない。ここは、彼女の言に従って突き進もう」ヨランはにやりと笑った。


自由詩 ハーレスケイドでの戦い(四) Copyright おぼろん 2022-09-11 19:26:59
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