薄い殻
七
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう
虫
鳥
雲
それとも
窓
ひとだけに
不自由がはびこる
気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたような薄い殻に
触れていた
プランターに辿りついた日のかたちまま
時間からとり残された渦巻きの
やわらかな身体は消えて
なんてうつくしいんだろう
これから起こることはみんな
割れるような不可逆の現象
壊してはいけないと思う
いいえ
壊せやしない
ゆびさきに全神経を集中して
どのくらい脆いのか
そっと感じとっているところ
自由詩
薄い殻
Copyright
七
2022-09-09 01:07:23