世界の変化、あるいは彼らの戦い(二)
朧月夜
──「お前は誰か?」と、言った者があった。
フランキスは慄然とする。それは、エイソスか? それとも彼の侍従か?
いずれにしても、「わたしは誤った」と、フラン騎士は思った。
祭祀クーラスから言い使っていた役務を、わたしは失敗した、と。
フランキスは悔悟したのである。しかし、そうではなかった。
そこに待ち構えていた者の顔に、フランキスは愕然とした。
「エ、エインスベル?」
「そうだ。わたしだ。お主もわたしを知っておろう……」
かつては、アイソニアの騎士と対決したフランキス、彼の目には、
そのかつてのパートナーであるエインスベルの面持ちも、しっかりと刻まれているはずだった。
「あの女は、恐るべき存在だ」と。……その彼女が、
今では、自分の目の目に現れている。「お前は一体、
どのようにして牢獄を抜け出してきたのか?」という言葉を、フランキスは飲み込んだ。
彼にはまだ、現世、そして幽冥界というものが何であるか、飲み込めていなかったのである。
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クールラントの詩